講師から見て教えやすい生徒、逆に教えにくい生徒のタイプがあります。教えやすいのはやはり個性的な人で、一般社会ではちょっと変わり者のように思われている人などは英会話や語学に関しては見どころがあり、と言えます。
あまり常識にとらわれず、単語なんか多少間違っても気にしないで、身振り手振りでどんどん自分の考え方を発言してきますから、自然と上達も早くなるようです。
一方、真面目できちんとした人は教えにくいタイプに属します。こういうタイプはたいてい几帳面な性格をしていますから、間違いないように正しい会話をしようとするあまり、逆にぎこちない話しぶりになってしまいます。
つまり、英会話を学ぶ場合は、日本的な謙譲の美徳とか常識にとらわれず、図々しいくらいの態度でちょうどいいのです。知っている単語をバラバラに並べてでも話すような人でないと、「朝食は何を食べた?」でレッスンは終わってしまいます。
これまでの経験からすると、一番教えにくいのは、18歳の高校生や19歳の専門学生です。もともと勉強が嫌いで、英語にもほとんど興味がないのに英会話スクールに入学して通ってきている生徒が結構います。
これはグループレッスンを主にするスクールや短大や大学などの講義形式での話ですが、単語をあまり知らない生徒はレッスンがおもしろくないので寝ている人もいますし、講師としては何故そんな生徒が教室にいるのか理解に苦しみます。
逆に、60歳以上の人を教えるのはなかなか楽しいものです。年配者は話し相手も少ないせいか、自分の長い人生経験を誰かに話したくてウズウズしています。
以前、80代の生徒を教えたことがあります。その老人はボケ防止のために英会話スクールに通っていましたが、自分が行ってきた60年間に及ぶ貿易の話は非常におもしろくて、教えていた私自身もすごく楽しめました。
また、語学の達人は何といっても子供です。彼らがすぐに外国語に慣れてアッと言う間に覚えていくのは、見たまま聞いたままをそっくり真似するからです。モノマネは英会話を学ぶ最高の手段であり、正確なイントネーションを覚える方法だと言えます。
男性と女性を比べると女性の方が話をしてくれます。1対1のマンツーマンレッスンでも男性よりも女性の方が話が盛り上がるようです。グループレッスンならば男女半分ずつなら話が結構はずむことが多く、いい雰囲気でレッスンが進められます。
会社の中で地位が高い男性に教えるときは、かなりの気苦労があります。相手が初級レベルでも子供を教えるような方法をとるわけにはいきませんし、あまり失礼な会話をするわけにもいきません。ある一定のルールを超えるのが非常に難しいのです。