英会話講師を何年か続けていると、教室に入ってきた第一印象でやめる生徒と続く生徒を判断できるようになります。まず、落ち着きがなく、教室に入ってきてもフラフラしているような人は、難しいです。
また、世間でよく言う「翔んでいる」ような人も途中でやめることが多いようです。
控え目でおとなしい人もなかなかグループレッスン主体では長続きしません。初対面の場合、エチケットとして表面だけの会話で終わることがありますが、2回、3回とレッスンに出てきて初対面の時と同じような感じで、あまり積極的に話してくれないと「ああ、この人は途中でやめるな」と思って間違いありません。
理解に苦しむのが、たった1回だけレッスンに顔を出して、その後まったく来なくなる人です。大手スクールでは私の見る限り聞く限り、その数はその月に10人入学した場合、約4~5人ほどです。約半分になります。もちろんアトラスでは1人もいませんが、他の小さな英会話スクールにも結構いるようです。これでは講師が「この人は長続きするかな、しないかな?」と予想を立てるヒマもありません。よほど講師の印象が悪かったのかなと、スクール経営者も考え込んでしまうでしょう。
もっとわからないのが、入学金もちゃんと払いこんでいるのに1度もスクールに来ない人がいることです。やはり単なる思いつき、はずみで入学したのでしょうか。
このように、入学した全員が英会話の学習を続けていくわけではありません。いま書いたように最初から来ない生徒もいますし、1ヵ月ぐらい経過するとだいたい、3,4人がやめていきますから、経営者側はたとえば募集人数5人のところを10人に水増しして調整を行ってるところもあります。
会社が費用を負担して、社員に強制的に英会話を勉強させる場合がありますが、英会話に対して興味がない社員には、「上司から残業しなさいと言われましたので」と仕事にかこつけてレッスンに出てこなくなります。
本当は残業など命じられていないのに、最初から英語を学ぶ気などありませんから、あれこれ理由をつけてレッスンをサボるものです。企業は何よりも仕事優先ですから、講師としてもあまり文句を言えません。
逆に、何でこんな人が英会話スクールに来ているのかと思うような人が長続きする場合もあります。いくら勉強しても一向に上達しない人がいましたが、なぜかレッスンは休まず、皆勤賞を与えたいほど熱心に通っています。ある日、そういう人の1人に英会話を学ぶ理由を直接聞いてみると、彼女にとって英会話はひとつの「道」であり、天が自分に課した使命だから死ぬまで勉強を続けたいとうことでした。
また、女性の中にはグループレッスンのクラスを友達同士の社交場にしている人もいます。英会話スクールに行けば誰それさんに会えるから、とそれだけの理由で続ける人もいます。講師とテキストは二の次になります。
英会話スクールは、どうやら英会話を勉強する人たちだけの場ではなくなってきたようです。いろいろな目的があって利用してくれるのは大変ありがたいことですが、それが大衆文化(ポップカルチャー化)していくのは見ていて辛くなる時もあります。