物事には必ず流行みたいなものがあって、だいたい5年サイクルの単位で流行が変化しているような気がします。英会話スクールにしても現在はマンツーマン英会話が流行していますが、これから5年先はまた別のスタイルになると考えられます。といっても私たちAtlasがこのシステムで始めてから約14年が経とうとしています。
流行のサイクルは、人々がファッションに対して抱いている感覚と密接な関係があるのではないでしょうか。たとえば、ファッションの流行は5年ごとに目まぐるしく変わっていきますが、その流行に乗らなければ時代遅れになってしまう、という人々の根本的な考え方は変わりません。
英会話スクールの流行パターンもファッションと似たような傾向があります。15年前までは英会話喫茶スタイルが全盛期でしたが、10年前には衣替えして英会話サロンにそのスタイルを変えています。インテリアに凝ったサロンがどんどん増え、ブティックの雰囲気を取り入れたもの、喫茶店のあるラウンジ、ビリヤードやダーツ、大きなテレビを入れたもの、あるいはDJを置いて最新の音楽を流している英会話サロンもありました。
これらの英会話サロンの案内を見た生徒は、そのサロンに足を踏み入れた瞬間、「ああ、これは雰囲気もいいし、ノリがいいから勉強できる!」とばかりに入学していきました。英会話学習の場もファッション感覚なしでは人が集まらなくなってきたというわけです。
テレビのCMでもそうなのですが、消費者はイメージや雰囲気だけで商品を買う傾向があります。有名タレントが宣伝している商品を買ったり、テレビのCMのムードにつられて、商品の持つ特性や中味を深く考えずに買うことが多いのです。その良い例は2007年倒産した英会話スクール最大手の旧NOVAと2010年倒産したジオスということになります。業界3位以降の某大手スクールなども同じような手法を利用しているようです。
日本製品はどれも優秀ですから、そうした宣伝が持つ雰囲気だけで買ってもたいてい損はしませんが、英会話の学校となると果たしてどうでしょうか。
雰囲気で商品を売るのは古くから行なわれてきたことで、特に目新しいものではありませんが、英会話という一種の学習の場に、それを持ち込んで果たして効果があるかどうかは疑問です。まして、10年ごとに英会話スクールのスタイルを変えていくのは、その経営者が英語教育を単なる産業としてしか捉えていないからです。
もちろん英会話スクールの中には、100年間独自の教え方を通したところもありますし、良い講師がいて良いテキストを使っている英会話スクールもあります。
英会話が上達するかどうかは、その英会話スクールの指導姿勢や講師陣、教材の良し悪しに大きく左右されます。宣伝文句やうわべのカッコよさにつられて英会話スクールに入学して、結果的に損をするのは生徒さんの方なのです。