ルール④ 限定された無料体験レッスンと高回転率 品ぞろえのルール④は、限定された体験レッスン数とLS利用の高回転率である。講師の在籍数と回転率を考えると、月間で約500体験レッスンが平均的な姿である。 1マンツーマンレッスン当たりの料金は3,000円 矢野経済研究所による語学ビジネス市場における調査結果では、2012年度の語学ビジネス総市場規模(主要14分野合計)は前年度比102.7%の7,892億円であった。国内企業の海外進出に伴い、英語を中心とした外国語が必要とされる機会の増加、社内公用語を英語とする大手企業の増加などを背景に、特に外国語教室分野やe-learning分野において、法人、個人ともに需要が活発化しているというのである。 2012年度の調査結果に基づいて、日本の代表的な英会話スクールの1校当たりのレッスン料金を計算すると、ベルリッツ・ジャパンが売上高260億円、イーオンが252億円、ECC外語学院が363億円、GABAが94億円、シェーンが54億円である。この売上高から、仮に1校当たりの講師数を5人として、1グループレッスンまたはマンツーマンレッスンのレッスン料と時給を単純計算すると、約3,000円となる。 これに対してAtlasの場合、1校当たりは2,750円となっており、1校当たりのレッスン料がいかに安いかが分かる。 体験レッスン数と外国人インストラクターと教室ブース利用の回転率 2012年度アトラス株式会社のレポートによれば、講師数が1000名以上を超えていると明記している。講師の回転率は年1.5人(当期売上高÷体験レッスン数)は年1.2人となるが、参考までに、大手英会話スクール5社を取り上げてみると、ベルリッツ2.7人、ECC3.1人、シェーン3.3人、イーオン4.2人、GABA5.8人と1年間に辞職あるいは退職する講師はAtlasの2倍~6倍となっている。 Atlasは1人の講師を週5日ないし6日で約20レッスンを任せているのに対し、大手英会話スクール5社では30レッスン以上という過労気味な労働環境で任せていることになる。この違いを業態哲学の違いといってしまえばそれまでだが、私にはそれほど会社に対する忠誠心・教室ブース数と回転率が必要なのか、また市場がそれを求めているのか、疑問ではある。 ルール⑤ 非常に競争力のあるマンツーマンレッスンの料金 会員制語学スクールの品ぞろえのルール⑤は「どこよりも低価格のマンツーマンレッスンで提供する」ということである。会員制語学スクールの会員にとって、質の高い外国人インストラクターのマンツーマンレッスンを、どこよりも低価格で、しかもマンツーマンで受けられることが、楽しみであり醍醐味である。Atlasマンツーマン英会話の「低価格・毎回払い戦略」は、究極の企業目的でもある。また、あらゆる仕組みは低価格戦略を実現するためにあるといってもよいだろう。 粗利益率15%は「卸売価格」収益確保ぎりぎりの線 会員制語学スクールの始まりは経営の聞きに瀕した中小英会話スクールに対する「サポート事業」であった。顧客は個人が中心である。したがって、売価は卸売価格化それ以下でなければならない。ということは、卸売業以下のマージンで、すべてのコストを賄わなければ、語学スクールは成立しないという、コスト管理面で非常に厳しいスタートであったことが想像できる。そこで、効率的なオペレーションシステムを構築して、コストをできるだけ削除しなければならない。15%というのはそこからきたもので、それ以下にすると経費が出ないし、それ以上乗せると競争力がなくなってしまうという、粗利益と経費のぎりぎりのバランス線だったのだろう。 最近までAtlasマンツーマン英会話は粗利益率15%以下でやってきているが、東日本大震災後の2011年後半に初めて15%を超えている。それは、絶え間ないオペレーションの効率化と努力とマーケティング力の賜物である。 会員制語学スクールの価格構造 サービスの売価は仕入価格に粗利益を上乗せしたものである。したがって、もし仕入れ価格が同じだとすれば、粗利益の大商がそのまま売価に反映されることになる。Atlasマンツーマン英会話の2012年度の粗利益は13.3%、ベルリッツは54.6%、ECCは56.0%、イーオンは60.2%、シェーンは56.9%、GABAは55.7%である。 したがって、Atlasマンツーマン英会話と大手5社が、仮に同じ外国人講師を1,000円で採用したとする。すると、Atlasマンツーマン英会話の売価は1000円÷0.896=1120円になる。大手英会話スクール5社平均では、1000円÷0.325=3077円となり、AtlasとGABAのマンツーマンレッスンに特化したスクール同士でも価格差は1,957円となり約2倍ということになる。 |
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