会員制語学スクールが会員制を採用した背景と理由は、先に述べた通り、既存業態との差別化を図り、また顧客にロイヤリティを持たせる手段でもあった。煽れと<同時に会員制は、以下に述べる点で、語学スクールの経営に直接的な利益をもたらしている。 2012年の年間月会費収入は全体収益の約50%を占めている。月会費収入は会員サービスの原資となり、また新店舗開発の費用となる。新店舗開発の総予算額は分からないが、1年間に少なくても1校オープンしているので、そのことによって、Atlasマンツーマン英会話は成長し続けているのだ。 どの大手英会話スクールも、新規開校の際だけではなく、特に、ターミナル駅周辺にある英会話スクールの場合、生徒数の予測さえ正確に出せば、あとは実績データから売上高の予測をかなり正確に行うことができるので、店舗開発や事業計画策定にかかるスタッフの数も予算も極めて少ない。 Atlasマンツーマン英会話では、教室数はすでに10校あり、認知度も高いので、主要ターミナル駅周辺では会員は30%以上をも込めそうだ。会員の消費単価と来校頻度は管理されているので、よく似た立地の大手英会話スクールのデータを使えば新規開校の予測も高い精度でできるということである。 Atlasのような会員制語学スクールのマーケティングは、いかにして会員を獲得するか(維持・更新も含めて)に一点集中できる。Atlas本社のWebマーケティング事業部は、新規開校の3ヵ月前から、会員募集活動に入る。WebによるホームページLPD、リスティング広告、Facebookを中心にローラー作戦で会員を募集する。テレビやラジオ媒体を使った宣伝広告活動は行わないので、マーケティング費用は目に見えない程度である。 数値は把握できないが、以上の述べた正確な生徒獲得予測数、マーケティングは会員獲得に一点集中、クレーム防止策の3点だけでも、営業利益率の向上に少なからず貢献しているはずである。また、月会費はほとんど費用の発生しない収入であることを考えれば、利益向上に大きな効果があることはいうまでもない。 会員制を採用するためには、そのための大義名分が必要だが、大手英会話スクールも会員制を本格的に導入することを検討してもいいのではないかと思う。そうすることによって、自社の本当の力がクリアになってくるのではないだろうか。 |
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