外国人講師2,500名、日本人講師1,000名の3,500名のメンバーからなる語学講師の団体があります。そこでディスカッションが行われた時、ある講師から「英会話講師は40歳で燃え尽きる」という発言がありました。
つまり、英会話講師の仕事を続けてきて40歳ぐらいの年齢に達すると、講師の仕事に飽きて熱意を持てなくなったり、毎日が同じ事の繰り返しで何の夢も描けなくなってくるわけです。
人間も40歳近くにの年齢になると、皮肉っぽくなって厭味も言うようになります。でも英会話講師がそんな気持ちになったら、お金を払って勉強している生徒の方はたまったものではありません。そもそもこのようなタイプの講師は、英会話を教えるという仕事に向いていないのです。
たとえば、イギリスやアメリカで英会話講師の資格を取り、日本で教えている講師もいます。しかし、いかに正式な資格を取っていても、日本人に合った適切な教え方ができるかどうかは疑問です。なぜかというと、教え方の理論そのものはわかっていても実際の教室ではまった役に立たない場合が多いからです。
日本人は、中学・高校と文法重視の教育を受け、積極的な生徒が少ないので自分が教わった教え方がうまくいかないのです。性格がもともと人にモノを教えるのに適していない講師や、資格がかえって邪魔をする講師もいます。そのために実践の場では生徒に不評をかってしまうのです。
こうした講師が実際に日本で教え始めると、自分がこれまで勉強してきた教え方が通用しないことがすぐにわかるはずです。私も当てはまりますが、教育の考え方からアメリカ人講師は上達を早めるポイントとして、生徒の創造性を高める方法で教えていくことが多いですが、日本人の生徒たちに創造性を強調した教え方をすると逆効果になる場合が多いのです。
英会話スクールが営利を追及する一種の教育サービス行である以上、お客様の要望(ニーズ)に応えることはいたしかたないことです。私も日本で英会話スクールを始めて何年かして理解したことですが、しかし、本来の英語教育からかけ離れていくのはあまり好ましく思いません。
熱心で良心的な教え方をしている教室(大手スクールではまずありえない)や、優秀な講師を派遣している会社が結構あるのにもかかわらず、学ぶ方が勉強自体とは何ら関係のないさまざまな制約をつけて、みすみす英会話上達のチャンスを逃しているといえるでしょう。
講師の中にはだんだん理想と現実のギャップの大きさに戸惑い始め、教える情熱を失ってしまう人もいます。
では、日本に残留して英会話講師を続けている人はどうなのでしょう。正直に言って、本当に日本人に英語を教えることが好きでこの仕事を続けているというよりも、生活のために働いている人がほとんどだと考えさせられるのです。
「英語教育に命をささげるために日本に骨を埋める」なんて言葉が特に大手スクールの講師から聞けたら、非常にラッキーなケースだといえるでしょう。ちなみに二重国籍で両方で教育を受けた私には日本人とアメリカ人のちょうど真ん中の考え方でいようと努力をしています。でも、本当は少し日本人側にいるかもしれません。
|